木工玩具

あいうえおつみき』と『Baby piece(ベビーピース)』。
どちらも戸田デザイン研究室と岐阜・郡上八幡の職人集団・野首木工所のコラボレーションによって生まれた、美しく楽しい木工玩具です。

『あいうえおつみき』と『Baby piece(ベビーピース)』。
どちらも戸田デザイン研究室と岐阜・郡上八幡の職人集団・野首木工所のコラボレーションによって生まれた、美しく楽しい木工玩具です。

最初に手がけたのは『あいうえおつみき』。
「もじ積み木」は日本の伝統的な木工玩具。昔も今も、たくさんの子どもたちが遊んでいます。私たちが『あいうえおつみき』の制作にとりかかった時にもキャラクターものから学習系まで、たくさんの種類の「もじ積み木」がありました。そしてそのほとんどが書き順やカタカナ、ローマ字なども併記されていて、木工品というよりは教育教材のような印象です。

私たちが目指す積み木は、あくまで “楽しい絵と美しい文字が描かれた木工玩具”。
子どもたちの感性を育むような、キレイで楽しいものを作りたかったのです。
それになんと言っても、戸田デザイン研究室の出発点は『あいうえおえほん』。
ひらがなの美しさを伝える絵本を原点とする私たちなら、日本一美しいひらがな積み木を作ることができる!
だからデザインはもちろん、素材、プリント、ピースの大きさ、ケースに至るまで、徹底して美しいものを作ることにこだわりました。

見てください!『あいうえおえほん』の世界がそのまま再現されています。
余計な装飾は一切ナシ。文字と絵だけの究極にシンプルなデザインだからこそ、子どもたちの自由な想像力をひきだします。

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この美しいプリントはシルク印刷という技術。色を何回も塗り重ねてプリントしていくのですが、『あいうえおつみき』は通常の2 倍近くの版を使い、同じ色でも微妙に異なるニュアンスまで表現しています。その色数は普通のシルク印刷ではあり得ない13色!(普通は6色程度です)また、黒の細い線はきれいに出しにくいのですが、ひらがなの繊細な曲線までご覧の通りの美しさです。

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ピースのサイズにもこだわりがあります。
一般的なもじ積み木より一回り小さいサイズに仕上げました。子どもの手にしっくりとなじみ、どことなくエレガントでおしゃれな印象です。

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ピースひとつひとつに木目がしっかりと感じられるのは、素材に天然のブナの木を使っているから。通常の「もじ積み木」では、柔らかで軽く、白くて木目の目立たないシナやトチの木がよく使われます。私たちが欲しかったのは、木目が確かにあり、木材独特の色をしていて、しっかりとした重さと硬さのある素材。その要望に応えてくれたのが、ブナの木だったのです。色、木肌のなめらかさ、触れ合う音まで。せっかく天然木という生きた素材を使うのですから、その魅力をしっかりと子どもたちにも感じて欲しいのです。

続いてお伝えしたいのが、匠の技とも言える木工技術。
すべてのピースのすべての辺は、きちんと丁寧に面取り加工されています。痛くない程度に角を落としていく、という作業は手間も時間もかかりますが、手にしたときの感触が違ってくるのです。

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そしてこのケースも『あいうえおつみき』ならでは。まるで木の額縁に入っているみたい!

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額縁の一辺を外し、透明なアクリル板をスライドさせて開閉するのですが、この部分にも余計な留め具は一切ありません。まるで魔法のようにスーッと開け閉めできます。
(この技術、実はスゴいことなのです。)

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好きな絵を選んで組み合わせたり、文字と並べて物語やメッセージを作ってみたり。
ケースにしまう時まで楽しくて創造的!
お片づけをした後もインテリアとして、飾って楽しむことができます。

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子どもが手にするものに、なぜ、これほどまで「美しさ」を求めるか?

そもそも私たちは『あいうえおつみき』で子どもたちに、文字の書き方を覚えてもらいたいとは、思っていません。ブロックのように組み立てたり、好きな絵を並べたり、絵のある積み木として、自由に遊んでもらいたいと思っています。

その自由な遊びの中で、文字や絵はイメージとなって子どもたちの心に残ります。
やがて実際に文字を書く時や初めてのことばに出会った時、「あの積み木では、この文字はきれいな丸い形をしていたなぁ。」「ロバの絵は、目を閉じてかわいい顔をしていたなぁ。」そんな風に思い出すことが、あるはずです。
イメージは形や色など、すべての要素が統合されて生まれるもの。美しいイメージは大人になっても心の片隅にずっと生き続けるでしょう。そのイメージの集積こそが、その人の想像力の原点になると思うのです。

いつの日か、『あいうえおつみき』で遊んでくれた子どもたちが大人になり、「自分の子どもにも、この積み木を手渡したい。」そう思ってくれたら、私たちにとってこれ以上の喜びはありません。

理想のひらがな積み木を作り上げた私たちが、強く感じたことがひとつありました。
それは、良質な木材と、戸田デザインの財産でもあるシンプルなデザインのイラストは、相性が抜群だということ。
膨大な数のイラストのストックを持つ私たちが「木目の美しい木にキレイにプリントされた、見るだけでも楽しい木のピースを、とにかく、たくさん作って遊びたい!」と考えたのは、とても自然なことでした。

当初は、絵あわせやメモリーカードのようなものを思い描いていたのですが、「美しく・楽しい」を追求した結果、私たちの想像をはるかに超えた自由で幅広い遊び方を持った木工玩具ができあがりました。
それが、全く新しい木工玩具『Baby piece(ベビーピース)』です。

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総ピース数72 枚という、この圧倒的なボリューム!!!
箱から出してワーッと並べただけでも楽しい!
片面にはイラスト、片面には手描き風のドットをプリント。『あいうえおつみき』と同じく、シルク印刷で仕上げました。天然の木肌にこの鮮やかな色。とにかくキレイでカワイくて、見ているだけで楽しい!

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1ピースは50×50×6mm。「札(ふだ)」のような、厚めの「カード」のような手のひらサイズ。普通、この厚さだと2ミリ合板を3枚重ねて接着剤、という方法がとられます。ヨーロッパの高級木製玩具でさえ、合板です。しかし天然木の美しい木肌にプリントしたかった私たちは、1枚板にこだわりました。その結果、余分な接着剤を使用することもなく、赤ちゃんの「歯固め」としても全く不安がありません。どうしてもこの年齢の赤ちゃんは、何でも口で確認しますから!
もちろん、この薄さでも四隅の面取りもしっかり施されています。(しかも、この薄さできちんと自立します。だからドミノ倒しもバッチリできます!)

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素材は国産のイタヤカエデを選びました。なめらかな光沢が、とてもキレイな木目です。繊細な美しさを持つ木ですが、一方では伸び縮みも激しく木目や色も千差万別。
細かなプリントものや繊細な木工細工には不向きとされていました。しかし私たちはそれこそ木で作ることの魅力、個性ではないか、と考えました。強い生命力を持った、生きている素材。それが天然木。だから、赤ちゃんが初めて手にするものとしてふさわしいと思ったのです。

東北地方に生息するイタヤカエデ

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ケースはやはり、額縁仕様。
厚みのある正方形の木のケースに入った、72 枚のピース。
好きな絵を9枚選んでケースに並べるだけで、楽しくなります。
工芸品のような趣きさえ漂います。

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36 種72 枚のイラストは戸田デザイン研究室のロングセラー絵本から厳選。
美しさ・わかりやすさ・楽しさを極めたラインナップです。
【動物】【食べ物】【乗り物】【生活】の4 つのカテゴリーから成り、それぞれのイラストが2枚ずつあります。
ドットも4つのカテゴリーにあわせ、黄・緑・赤・青の大きさの異なるものがプリントされています。
この独特な構成が右脳を使った感覚的な遊びから、左脳を使った論理的な遊びまで!
とにかく幅広い遊び方を可能にします。

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赤ちゃんの頃は握ったり、眺めたり、噛んでもOK。
ものの名前や色を覚えることも。仲間分けをしたり大きい順や速い順で並べたり、ドットをヒントにトランプ並みの難易度の神経衰弱もできます。この学びのバリエーションの豊かさに幼児教育関係者からも、子どもが使いやすく、楽しく学ぶことができる優れた知育玩具だと高く評価いただいています。
さらに好きなイラストでお話しを作ったり、ピースを季語のように詩や俳句を詠んでみたり。
想像力を養ったり自分の世界を表現するツールとしての役割も果たします。
積み木のように積み重ねたり、ドミノ倒しだってきる!
子どもたちはもちろんご高齢の方まで、いろいろな楽しみ方ができるのです。

木工玩具の魅力。それはまず木という自然の素材で作られていること。それを手にとり、自由な想像力で遊べること。そして時とともに風合いを増す木の質感を味わいながら、永く楽しめること。
『Baby piece(ベビーピース)』ほど、そんな木工玩具の魅力を美しく、シンプルに表現したものはないでしょう。だからこそ、これほどまでに自由で豊かな世界を持つことができたのです。
小さな子どもたちが大人になるまでその成長に寄り添い、知識も心も育む。まるで一生の友だちのように存在になってくれる、ステキな木工玩具です。

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私たちの木工玩具作りのパートナー、野首木工所。
岐阜・郡上八幡に工場を構え、1950 年代から木のおもちゃ一筋で製作を続けています。その確かな技術で大手メーカーの製品も数多く手がけている、木工玩具作りのプロ集団です。

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廃校になった学校を移築して使っている、野首木工所の工場。野首社長の母校だそうです。

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冬は雪に覆われ、とても寒い!

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豊かな緑がまぶしい、夏の郡上八幡。

岐阜の小京都とも言われる郡上八幡は、四方を山々に囲まれ、清流・吉田川が流れる美しい土地です。
かつては良質な広葉樹の山林に囲まれていたため多くの製材所があり、家具や小木工品が盛んに作られていました。その木地師(ろくろでお椀やお盆の製造加工する職人)たちによって、木工品の技術が発展します。
加えて郡上八幡は、なんと!!シルク印刷の発祥地でもあったのです。
まさに「もじ積み木」を始めとする色彩豊かな木工玩具を作るには、最良の地!

木工職人さんたちのたくさんの知恵と熟練した技術に支えられた『あいうえおつみき』と『Baby piece(ベビーピース)』。その制作過程を詳しくご紹介いたします。それでは早速、工場内をご案内いたしましょう。

いきなり話が脱線しますが、工場に入ると、独特な存在感を放つのが、この、廃棄ドラム缶を利用した手作りストーブ。迫力満点です。冬場の工場内はこれで暖をとります。

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まずは、木材を寸法にそって切っていきます。この機械も、まるで機関車のようで、ド迫力です。

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そして、シルク印刷。
最初は、調肉(ちょうにく)と呼ばれる色の調合作業をします。季節によってインクの粘りも変わる、とても難しい工程です。テーブルには職人さんにしかわからないメモがいっぱい貼られています。通常の倍以上の色を塗り分ける『あいうえおつみき』や『Baby piece』の場合は、その色作りから、大変な作業になっていきます。もちろん、インクは日本玩具協会の安全基準(ST)に合格したものを使用しているので、安心・安全です。

これは『Baby piece(ベビーピース)』印刷現場です。細長い板の状態で、一気に刷り上げます。まずは「合わせ位置」でピタッと合わせる。色を塗る前のこうした細かい下準備が、仕上がりに大きな違いを生むのです。

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薄い色から順に色を塗り重ねて行きます。通常のシルク印刷は6色前後ですが、『あいうえおつみき』も『Baby piece』も、倍以上の色を使い塗り分けているため、大変な手間と時間がかかるのです。

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まずは白のみ、刷り上がりました。

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それから、黄色。

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白の上に、黄色が乗りました。

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次は、赤。

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白+黄+赤です。どうです! この細かさ。まさに職人技。

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これを何度も何度も何度も繰り返して、ようやく10枚分の印刷が終了です。

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こちらは『あいうえおつみき』。白い縁取りもあるので、キレイに塗り上げるには特に高い技術が求められます。

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ここではお見せできない、工程も実は、たくさんあります。それこそ、野首木工所の職人さんたちが長い年月の中、試行錯誤を繰り返し編み出していった、独自の技術なのです。よりきれいな色をだすために、よりきれいな線をだすために、たくさんの知恵と工夫があるのです。

これはバラになった『あいうえおつみき』。仕上げに各ピースにヤスリをかけます。これも職人さんの手の感触が頼りの繊細な工程です。高速で動く、職人さんの手。小さな子どもたちが安心して遊べるように、丁寧に丁寧に仕上げていきます。

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『Baby piece』の木箱。木箱もひとつひとつ手で組み上げていきます。

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オリジナル額縁型ケースに入った『あいうえおつみき』。すべてが美しい!

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『あいうえおつみき』『Baby piece』どちらのケースにも入る焼き印は、作った私たちの責任と自信の印。両社、パートナーの証でもあります。

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素材、デザイン、色彩、形、ケース、にいたるまで。戸田デザイン研究室の木工玩具には、細かいこだわりがいっぱいです。それを実現してくれたのは、野首木工所の職人さんたち。
経験に裏打ちされた確かな技術はもちろんですが、なにより「良いものを作ろう!」「工夫次第でやれないことはない!」
という、筋金入りの職人魂を私たちは何度も目の当たりにしました。
私たちは常に彼らの手仕事の素晴らしさを実感し、尊敬しています。彼らとともにもの作りができることは、とても幸せなことだと思っています。

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野首木工所のみなさん。自らが熟練した職人でもある社長から若い職人さんへと、その技術とモノ作りの心が受け継がれています。

手間隙を惜しまず、ひとつひとつ作り上げるものならではの美しさ。えも言われぬ温かみ。世界にひとつしかない、という唯一無二の価値。年月が経つごとに段々と色味が変わり風合いが増し、親子何代も永くずっと使っていけるという素晴らしさ。こうした手仕事ならではの魅力は、数々の気の遠くなるような工程を経て、はじめて生まれるものです。
そしてそれは、私たち戸田デザイン研究室に流れる「もの作りの精神」とも共通しているのです。

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