お豆のような独特な曲線で作られた柔らかなフォルム。
鮮やかな色彩と、楽しいイラスト、カラフルなリング。
戸田デザイン研究室のリングカード・シリーズは、それまでの一般的な学習カードやフラッシュカードのイメージを覆す“楽しさ”で、多くの支持を集めています。
リングカードが最初に作られたのは2004 年。その誕生のきっかけは、読者の方々の声でした。『あいうえおえほん』をはじめ、わかりやすく・美しい知育絵本作りで高い評価をいただいてきた戸田デザイン研究室に、「学習カードを作ってほしい。」というリクエストが多く寄せられるようになったのです。
暗記のための単語帳のようなものは作りたくないと思っていた私たちですが、試作で『あいうえおえほん』をバラバラにして、カード状の段ボールに貼ってみたところ…とてもおもしろい!!綴じられた絵本がバラバラになることで、絵本とは違ったおもしろさが生まれることを実感しました。
それなら、とにかく「楽しい」に焦点を絞ったカードを作ろう。お勉強ではなく、子どもたちが「持ってみたい!」と思う楽しいカード、持つだけで楽しくなるカードを作ろう。そう決めたのです。
まずはこの形。カードを表裏で重ねてみてください。微妙にズレる左右の曲線。
実は左右対称ではない、自由な?不思議な?形なのです。
最初はパソコンを使って、幾何学的な形を正確にデザインしてみたのですが、美しいとは思えても、なんだか冷たくて、つまらない…。
それではと、フリーハンドで描いてみたところ、なんとも言えない有機的で温かみのある、独特の形に仕上がりました。作家・とだこうしろうの手描きで生まれた唯一無二のフォルムです。それをそのまま刃型に起こし、試作。そうして今のリングカードの形ができあがっていったのです。
そしてこのリング。最初から金属のリングを使うことは、考えていませんでした。
冷たい印象ではなく、太さがあったほうが楽しい。色もとにかくポップで明るいものにしたい。形や色へのこだわりはもちろん、リング自体の作りにもこだわりました。
まず、余計な留め具は一切使いたくない。
結合部分の「入れ具合」にも理想があります。大人の女性(お母さん)が、ちょっと力を入れるとようやく開く感じ。簡単には開かない。絶妙な仕上がりです。
まさに職人さん泣かせの要望ですが、高い技術とたくさんの知恵で、思い描いた通りのリングが完成したのです。
「こんなに鮮やかで美しいカードは、見たことがない!」
「子どもが楽しそうに持って、歩いています。」
今でこそ、多くの“類似リングカード”が他社から販売されていますが、発売当初から10年以上の月日が経った今でも、こうした嬉しい声が途切れることなく聞こえてくるのが、私たちの喜びです。
そしてまた、私たちでは予想もしなかった遊び方や使い方が、読者のみなさんから寄せられています。
リングから外してカルタのように遊ぶ、自由に組み立てる、リングをベビーカーにつけてお出かけに持っていく、などなど。細部まで真剣に作りこまれたリングカードのオリジナル品だからこその広がりです。
これからも、子どもたちがワクワクできる、自由に遊んで学べるカードであり続けたいと思っています。